千秋先生は極甘彼氏。


 「いいよ、撮ろうか」

 千秋先生は快く返事をくれた。しかも「同じ場所で撮る?」と聞いてくれる。

 「まだ終わらないかもしれないよ?」
 「待ってたらいいんじゃない?」
 「待つの?」
 「待たなくてもいいならいいけど」

 待ってもいいけどじっとしている時間が勿体無く感じてしまう。
 この後のプランは分からないけど他にも見て回るところはあるはずだし。
 
 「別の場所でいいよ」
 「そう?」
 「…うん。それに、ま、柾哉さんと撮れるならどこでも」
 「いやそこはネモフィラ畑で撮ろう?」

 せっかくちょっと頑張って言ってみたのに千秋先生は華麗にスルーを決めた。私の精一杯の頑張りが…、なんて心の中で嘆いているとやはり弄ばれたらしく忍び笑いが聞こえる。

 「果穂が一生懸命俺を喜ばせようとしてくれる姿が可愛くて、つい。ごめんね?意地悪して」

 (い、意地悪された…!可愛いから許す!)

 クスッと笑われてカァーと頬が赤くなる。
 
 彼の言葉に恥ずかしくなったんじゃない。
 彼の表情が可愛すぎたんだ。

 そんな私をよそに千秋先生は歩き始めた。

 「いい場所探しに行こう」
 「…うん!」

 離れてしまった手をもう一度繋ぎ直す。
 しかしすぐに良さげな場所を見つけて写真撮影会が開始されたのだった。


 「自転車しんど」
 「柾哉さん全然漕いでなかったのに!」

 園内をぐるりと回って約4時間。私たちはようやく駐車場に戻ってきていた。ネモフィラ畑の後は菜の花や薔薇園など園内を回った。観覧車にも乗り、途中二人乗り用の自転車を借りてサイクリングした。ただ、柾哉さんが全然漕いでくれなくて大変だった。(でも楽しかった)

 「邪魔ばっかりするし」
 「ははは。果穂が可愛くて」
 「運転中ツンツンしないでって何度言ってもやめないし」

 普通に考えると二人乗り自転車の前が柾哉さんのはずだ。それなのに何故か柾哉さんは後ろに乗った。そして私の背中をツンツンしてくる。
 可愛いけどくすぐったいしぎゃあぎゃあ言いながら景色を眺めて公園内を一周した。

 「シートベルトして」

 千秋先生が車のエンジンをかける。

 「お腹空いたね」
 「ぺこぺこです」
 「はい、アウトー」
 「えー?もういいよー」

 ほらほら、と言われてえいやぁ、と頬にキスをする。千秋先生は満足したらしく「よし、行くか」と次の目的地に向けてハンドルを切った。