「どうしてあなたはいつもわかってくれないの!」

「お前だってそうだろう、俺は仕事が忙しいんだ。それにちゃんと家事だって手伝っているだろう」

「違う!私は…」

5歳だった俺はひとつ違いの兄の颯樹と共に両親の喧嘩を隅から見ていた。

子供ながらにこの先の未来をぼんやり察していた。

「もう、離婚しましょう」

「ああ、いいだろう」

両親の離婚後、俺は母に、颯樹は父に引き取られた。

俺は母と一緒に母の地元に引っ越し、二人暮らしをしていた。