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ついに始まった、月ノ宮祭。
学校は、そわそわ、わくわくとした雰囲気に彩られていて生徒たちがいつもよりも浮き足立っているのが分かった。
「……ついに、結月先輩となにもないままここまで来ちゃったけど」
「……っ、う」
「ーー本当に、いいの?」
っそんなの、言われなくても痛いくらいに分かってる。
「……よ、くない」
「うん、よく言った小夜」
唇を噛み締めながら言った私に、愛李ちゃんは優しく頭を撫でてくれた。
ーー……
「あれ、きみひとり~?」
「っ、……そうですけど」
そう絡まれてしまったのは、愛莉ちゃんと別れてすぐのこと。
ひとりでとぼとぼ歩いていたら話かけられてしまったわけで。
……たぶんこの人、吸血鬼、だ。
視界の端でちら、と見えた鋭い牙。
瞳に写した瞬間、心臓がどっと、嫌な音をたてた。