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「ーーー小夜ちゃん?」
「……っえ、」
名前を呼ばれたことで、はっと意識が戻ってきた。
何秒……いや、何分上の空だったか分からないけど目の前にいる彼は少し拗ねたような、怒ったような表情をしている。
それでいて愉しそうな……そんな顔。
「……朔、先輩」
「うん?どーしたの小夜ちゃん」
少し体が傾けば、ぴったりとくっついてしまいそうな距離。
耳元で聞こえたのはやっぱりゆるーい口調。
でも少し甘さを含んでいる気がするのは、気のせいじゃない。
「ちかい、です!」
そのゆるい声に対して、私は大きな声を張り上げた。
意識が戻ってきてからの、この近さ。さすがに心臓に悪いのだ。