この『恋』の言い換えをするならば『瑕疵』(かし)です


先輩のアパートは急に来たのに
シンプルに片付いてた



「カレー味も美味しいですよ!」



「うん、うまそう」



先輩は缶ビールに口をつけながら
唐揚げを食べる私を見てた



「ウエットティッシュありますか?」



「うん、あるよ
はい…」



「ありがとうございます!」



付き合っても敬語



先輩も付き合う前と何も変わらない



でも付き合ってるからここに来た

付き合ってなくても
私が来たいって言ったら
先輩はいいよって言ってくれたと思うけど…



「あ、ご飯いる?
朝炊いたのが冷蔵庫にある」



「いらないです
ダイエットしてるので!」



「ダイエットなんかしなくてもいいじゃん
別に坂寄太ってない」



「え?先輩私のカラダ見たことないでしょ!
先輩は痩せてるからいいですね!」



「坂寄だって
オレのカラダ見たことないだろ」



「ハハ…たしかに…」



付き合っても先輩と坂寄



「アレ?唐揚げってゼロカロリーだっけ?」



「はい!たしかゼロカロリーです!」



「じゃ、いっぱい食べな」



「はい
先輩も食べてくださいよ!」



「うん」



先輩はビールを飲みながら
誰かにLINEの返信をしてた



「先輩…」



「…ん?」



誰ですか?



「今日、泊まってもいいですか?
なんか、酔ったかもです
…って言ったら泊めてくれます?」



「んー…それなら仕方ないね
って…言いたいけど、坂寄飲んでないだろ!
でも、泊まりたかったらいいよ」



きっと先輩は言い訳なんかしなくても
いいよって言ったと思う



先輩がスマホから顔をあげた時
LINEの相手が見えた

私の知ってるアイコンだった