「楽しかった?」
「うん、楽しかった
カラオケ行った」
「へー…」
…
#密室 #沈黙
ドッ…ドッ…ドッ…
なに?
なんで鳴るの?
今ごろドキドキしても
遅いよ
中山いないし
「リョータくんとどこ行ったの?」
「ラーメン屋とゲーセン」
「ホントだ
ラーメンの匂いするかも…」
「そお?
メンズの香水の匂いするけど…」
「リョータくんの匂いかな?」
「や、リョータ香水つけない
瑛茉だろ」
「私も香水なんてつけてないよ
しかも、メンズのなんて持ってないし」
「彼のだろ」
彼?
中山?
「そーかな…?」
好きな人の匂い
わからなかった
「カラオケで何してたの?」
「カラオケって歌うでしょ
他に何するの?」
「へー…」
へー…ってなに?
へー…じゃなくてさ
…
ドッ…ドッ…ドッ…
沈黙になると聞こえる
私の心臓の音
中山、手羽先買えたかな?
必死に中山を思い出そうとしてる
「あ、昨日お兄ちゃんすごい酔ってたね」
「あー…」
「そんな飲んだ?」
お酒の味を思い出した
ドッ…ドッ…ドッ…
アレは事故で
お兄ちゃんは酔ってて知らないはず
私を誰かと間違えてキスしたんだ
#キス
そのワードにドキドキする
中山といた時はドキドキしなかった
「瑛茉のシャツ、ちょっと短くない?」
「え?こーゆーデザインなの!」
お兄ちゃんが話題変えてくれて助かったかも
「お腹見えてるよ」
「見せてるの!」
「誰に?」
「え?
誰とかじゃなくて
こーゆーデザインなんだって」
お兄ちゃんこーゆーの嫌い?
ファミレスでお兄ちゃんと一緒にいた人は
こんな格好してなかったもんね
柔らかそうな色のブラウスに
短すぎないスカート履いてた
お兄ちゃんの好みなんて
どーでもいいけど
「瑛茉、髪伸びたね」
あの人も長かったな
綺麗に整えられてた
「伸びたかな?」
「伸ばしてるの?」
「最近、美容院行ってないだけ」
自分の中途半端な髪が恥ずかしくなった
「なんだ
好きな男の趣味かと思った」
好きな人
中山の好み、知らないや
「別に…
短い方がいいかな?」
「なんでオレに聞くの?」
「え…」
無意識だった
お兄ちゃんに聞いてしまった
お兄ちゃんが短い方がいいって言ったら
私は髪を切るのかな?



