この『恋』の言い換えをするならば『瑕疵』(かし)です


あ…雨だ…

傘ない



もうすぐ駅なのに
結構降ってきた



どーしよ

走ろう!



「瑛茉!」



後ろから手を掴まれた



「漸ちゃん!」



「傘なかったでしょ
一緒に帰ろ」



お兄ちゃんが
さしてる傘に入れてくれた



「いいよ漸ちゃん戻って
まだみんないるんでしょ?」



「うん
でもだいたい話終わったしさ
来週旅行行くんだ
その計画だから…」



「楽しそうだったね」



「うん
瑛茉も大学生なったら…」



「漸ちゃん
さくらんぼ大好きなの?
さっき聞こえた」



「え…?」



雨の音で聞こえなかった?



「漸ちゃん、さくらんぼ…
嫌いじゃなかったんだ?」



「んー…?」



聞こえてるよね

ごまかしてる



「チョコケーキも
いつも私のために…」



雨の音が傘に刺さる



「スゲー降ってきた」



お兄ちゃん、話逸らした?



「漸ちゃん、戻っていいよ
ホントに私ひとりで帰るから…
駅すぐだし、走るから」



「風邪ひいたら大変だろ」



「この前は漸ちゃんがひいたくせに!
私は大丈夫だった
気のせいだったみたい」



味覚障害は味覚障害じゃなかったみたい

ホントにマズかったぽい


帰って食べた
お母さんのハンバーグ美味しかった


お兄ちゃんにも食べさせてあげたかった



「瑛茉
オレの言うことちゃんと聞け!」



なに?急に



「お兄ちゃんぶらないでよ!
たった3個しか年離れてないじゃん!」



今日のいろいろがウザかった



お兄ちゃんの傘を振り払って
駅まで走った



せっかく迎えに来てくれたのに
ホントは嬉しいはずなのに

今は
そんな気分じゃなかった



なんでかな?



お兄ちゃんたち楽しそうにしてたからかな?

お兄ちゃんが私に嘘ついてたからかな?

お兄ちゃんの彼女みたいな人がいたからかな?

お兄ちゃんがお兄ちゃんぶったからかな?



たぶん…



全部だ



今日のいろいろが

今までのいろいろが

全部ウザかった