お兄ちゃんは私が中学生の時
熱のある私を
学校を休んで温めてくれた
背中がゾクゾクして
身体がダルくて
ひとりだったら寒くて不安だったと思う
ギュッて後ろから
優しくて温かくて
すごく気持ちよかった
ずっと覚えてる
ずっと忘れられない
漸ちゃんの感触も温度も匂いも
漸ちゃんの心臓の音がずっと背中に響いてた
ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…
それが子守唄みたいで
眠れない夜は今でも思い出す
私も漸ちゃんの役に立ちたい
漸ちゃんがしてくれたみたいに
漸ちゃんのベッドに入って
漸ちゃんの背中からギュッて
漸ちゃんを抱きしめた
漸ちゃん熱い
漸ちゃんの背中に顔を埋めた
漸ちゃんの匂い
安心する
背中も腕もゴツゴツしてる
ちゃんとご飯食べてる?
起きたら私がおかゆ作ってあげるね
どーやって?
お母さん呼ばなきゃかな?
漸ちゃんの背中から
漸ちゃんの心臓の音伝わってくる
ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…
そぉそぉこの音
安心する
懐かしい
「漸ちゃん、寒くない?
…
すぐ温かくなるからね」
ドッ…ドッ…ドッ…ドッ…
「瑛茉…なにしてんの?」
また起こしちゃった
「あの時の、お返しだよ
漸ちゃんがこーしてくれたら
すぐ良くなったから…」
お兄ちゃんの手が
私の腕を優しくギュッて掴んだ
「瑛茉…」
「なに…?」
「…ごめん…」
お兄ちゃん
なんで謝るの?
そこは
「ありがと」でいいのに…



