この『恋』の言い換えをするならば『瑕疵』(かし)です


凍りついた空気の中
お父さんがお味噌汁を啜る音がした



「別にいんじゃない?」



お父さんの一言で
少しずつ凍った空気が動き出す



お味噌汁の湯気が上がる



優しい匂い



お兄ちゃんから私の名前が出たことで
誰の顔も見れない



お兄ちゃんはどんな意味で
私と一緒にマンションに住むって言ってるの?



「ふたりがそれでいいなら
お父さんは賛成する」



お父さんはいつも私達の味方だ



こんな時でも

こんな事を言っても

お父さんは私達を叱らない



「瑛茉、お兄ちゃんにお味噌汁作ってあげてね」



お母さんの優しい声が耳に届く



お父さん、お母さん
本当にいいの?



「いつだったかな…
瑛茉がおよめさんになりたいって言って
そしたらお兄ちゃんが
僕と瑛茉は結婚できないの?って聞いてきたの
兄妹だからできないよって言ったら
お兄ちゃんすごく悲しそうな顔をした
…
なんだ…そーだったのね…
…
ふたりとも仲がよくて
お母さん幸せだった」



そんなお母さんの幸せを
私は裏切るのかもしれない



「ごめんね…お母さん」



「謝らないで…
辛かったよね、ふたりとも
…
まだ気持ちの整理がつかないけど
これからふたりが幸せなら
お母さんもお父さんも幸せ」



「お味噌汁、お母さんと同じ味にできるかな?」



「愛情がたっぷり入ってれば大丈夫♡
いいおよめさんになってね、瑛茉」



「うん…ありがと
お父さん、お母さん」