この『恋』の言い換えをするならば『瑕疵』(かし)です


「「「「いただきます」」」」



「やっぱりいいわね
みんな揃うと」



お母さんもお父さんも嬉しそう

絵に描いたような家族団欒



いつもはそれぞれ忙しくて
バラバラで朝食とってるのにね



お兄ちゃんが帰ってくると
家族がまとまる気がする



これでいんだ

これで…



お兄ちゃんも結婚しないでよ

ずっとここにいてよ



あのマンションはすごいけど
行かないでよ



「あのさ…
みんな揃ったから聞いてほしい事がある」



お兄ちゃんの緊張した声で
空気が変わった



「オレ、会社のマンションに住もうと思う」



やっぱりここから出ていくんだ



「さっきお兄ちゃんのマンション見てきたけど
すごいんだよ!」



「でも、単身者はアパートって
お兄ちゃん言ってなかった?」



口を挟んだ私を横目に
お母さんが言った



「うん
マンションは家族用」



「え!?じゃあ…
お兄ちゃん結婚?
それなら早く言ってよ!
彼女いないとか言ってたのに…
別に隠さなくても…ねぇ、お父さん」



お母さんは嬉しそうだった

お父さんは美味しそうに味噌汁を啜る



家族団欒もいいけど
子供が幸せなら親も幸せなんだろうな



私はお母さんとお父さんを
喜ばすこともできないし

きっとこの先
親になることもない



「うん、早く言いたかった
お父さんとお母さんに…
ずっと黙ってて、ごめん」



「別に謝らなくても…
そんな隠すことないわ
おめでたいことなんだし…」



「お父さん、お母さん
許してほしいことがある」



お兄ちゃんは酷く辛そうだった

こんなお兄ちゃん見たことない



結婚噺を家族にする時の顔じゃないよ



和んだ空気が固まった



そこにお兄ちゃんの一言が



「瑛茉と一緒に住みたい」



貼り付けられた



え…



お父さんとお母さんが私を見る



「兄妹仲がいいのは
お母さんも嬉しいわ
でも、なんで…」



「もっと早く言いたかった
ずっと言えなかった
諦めようと何度もした

オレ、瑛茉が好きだ

親不孝だってわかってる
でも、瑛茉が好きなんだ
オレは妹じゃない瑛茉が好きなんだ

瑛茉が着いてきてくれるなら
マンションに瑛茉と住みたい」



固まった空気は凍りついた



「瑛茉…
瑛茉はどぉなの?」



私が答えることで
家族がバラバラになるかもしれない



でも…



お兄ちゃんは勇気を出して言ってくれた



お兄ちゃんが私を選んでくれた



信じられないけど
嬉しい



ないと思ってたことが
現実になろうとしてる



「お父さん、お母さん
私もお兄ちゃんが、好き

ずっと一緒にいたい

でも…ごめんなさい
私とお兄ちゃんは…
結婚できないんだよね…」







私の気持ち



幸せになろうとすることで
お父さんとお母さんを裏切る