この『恋』の言い換えをするならば『瑕疵』(かし)です


いつもよりちょっと長くなったお風呂



気分が悪いのは、のぼせたのかな…



階段を上がって
髪の雫をタオルで拭きながら
お兄ちゃんの部屋を意識して通り過ぎる



足音を忍ばせたら胸の音が気になった



ドッ…ドッ…ドッ…



自分の部屋に入ろうとした時



「瑛茉」



その声に心臓がビクッて反応した



「ビックリしたー!
お兄ちゃんおどかさないでよ」



悪いことしてる時に見つかったみたいな気持ち



そーだ私

悪いことしてるんだ



抱いてはいけない気持ち



「ごめん、おどかす気なかったけど…」



「うん…
お兄ちゃん、おかえり
まだ起きてたんだ」



「うん、ただいま
なんか寝れなくて…
時差ボケかな…」



「そっか…
…
じゃ…おやすみ…」



なにもない

話なんかなにもない



廊下にあるお兄ちゃんと私の影が重なる



「瑛茉、もぉ寝る?」



「ん?…うん…寝るよ」



タオルで顔を隠しながら言った



「ちょっと話さない?」



お兄ちゃんは話す事あるの?

私はないよ



久しぶりだからって
またお兄ちゃんぶってるなら…

もぉそーゆーのいいよ



「なに…?
明日からもずっといるんでしょ
話なんていつでも…」



「明日っていっても
瑛茉、また出掛けるだろ」



家に居るの気まずいから
無理に出掛けようとしてた

お兄ちゃんなんで知ってるの?



「んー…出掛けるかも…ね…
でも、明日じゃなくても
話そうと思えばいつでも…」



「だから、今がいい
瑛茉の部屋、行ってもいい?」



「…ダメ…」



「じゃあ、オレの部屋くる?」



「…ヤダ…」



「そっか…じゃあ、おやすみ」



お兄ちゃんは自分の部屋に入って行った