乙女と森野熊さん


「森野って大抵無表情じゃ無い?でも今日なんてあんな優しげな顔して、アイス買って帰りなさいなんて言うんだからびっくりしたわ」


その言葉に胸がチクッとする。

熊さんの微妙な表情の変化は私しか知らないと、アイスもあくまで私が食べやすいようあぁ言っているだけだとわかる人が他にもいるという事実が。


「・・・・・・熊さんってどんな立場何ですか?あの周囲にいた人達、とても熊さんに何というか」


胸の引っかかりを隠すように、気になっていたことを切り出す。

何というか、周囲の人達は熊さんを怖がっているというか、嫌そうというか、あまり慕っている、そういう雰囲気を感じなかった。それを感じてむかついたのだ。


「あの短い間に気づいたの?凄いわね」


本田さんは笑ってコーヒー缶のキャップを、綺麗にネイルされた指で開け口をつけた。


「森野、自分は窓際警察官とか言ってたの?」


「はい」


「じゃぁ何しているかとか、階級も知らないのね?」


私は頷く。