「乙女ちゃん、俺に気を遣わなくて良いんだ」
あぁ思惑がばれた。
そう、熊さんは勘が良いので私の思惑なんて簡単に見破られる。
「でもさ、もう少しお姉ちゃんと話しても良いんじゃ無い?」
私が見上げてそう言えば、熊さんは私からお墓に視線を移す。
「ここに花はいない」
「そんな歌があるから?」
「そんな歌があるのか?それは知らないがここに花はいない」
「でも」
「乙女ちゃんの気遣いは嬉しい。
でも俺は大丈夫なんだ。
むしろ乙女ちゃんはもう良いのか?」
「良いよ、十分報告した」
「なら行こうか、トイレに」
「少しはデリカシーくらいもってよ!」
「あ、あぁ、すまん」
私が突っ込めば、熊さんが少し困ったような顔をした。



