窓際にいるのが熊さん、そして周囲にいた誰かが熊さんの言葉に固い声で返答した。
私は無表情で淡々と話している熊さんを目を見開いたまま見ていた。
その熊さんがふと顔を上げこちらのドアに視線を向けた。
「やば」
「本田」
本田さんの声に思わず本田さんを見ると、熊さんの、低いのに通る声が聞こえて慌ててまた隙間を覗くと、熊さんがこちらに歩いてきている。
いつも家に帰る時はだらしなくなるネクタイがきちんと結ばれていて、髪もボサボサじゃないし無精ひげも無い。何だか知らない人みたいだ。
大きな手がドアの縁を掴みドアが開く。
目の前に無表情の熊さんが立っていて、ゆっくりその目が私を見下ろした。



