「覗いてみて」
何故こんなにこっそりなのだろう。
私は疑問に思いながら細い隙間から中を覗くと、部屋の奥が見えた。
ずらりと並ぶ机、そして奥の窓側に誰かが俯いていて、それを取り囲むように十数人の人が立っている背中だけが見える。女性は二人いるがほとんどは男性で年齢は割と若い人が多いようだ。
じっと目をこらし、窓際に追い詰められ項垂れているのが熊さんだと気が付いて思わず隙間から顔を外した。
「どうしたの?」
本田さんが不思議そうに聞いてくるけど、身体の中の血の気が引いている。
だってこんな熊さんを見たかった訳じゃ無い。窓際警察官だなんて言っていても熊さんが酷い扱われ方をされている訳がないとどこかで思っていた。
だが現実は立場の弱い姿。
真実を知ると言うことが、わかっているようでわかっていなかった。



