「すみません、失礼ですが」
私が興奮しそうな気持ちを抑え戸惑い気味に言うと、女性はそうよねー!と明るく笑う。
「私は本田礼子。森野と同期で、お葬式の時手伝いをしてたんだけど乙女ちゃんは大変な状況だったし覚えてないのも無理ないわ」
「えっすみません!お世話になったのに失礼しました」
「良いのよー。森野が私達から乙女ちゃんを出来るだけ離していたから乙女ちゃんが知らないのも無理ないわ。
で、森野に用なの?」
熊さんが私を離した?私は意味がわからず首をかしげたが、ニコニコと返答を待たれて慌てて答える。
「あの、熊さん、森野さんがお弁当を忘れたので持ってきたんですが電話が繋がらなくて」
「えー!持ってこさせておいて放置なの?!」
「いえ!私が勝手に持ってきたんです。こんなに厳重だなんて思わなくて」
腹を立てだした本田さんにそう言うと、んー、と顎に手を当てて考え始めた。
「ねぇ乙女ちゃん」
「はい」
「森野の働いているとこ、見たくない?」
ニヤッと小声で聞かれて私はドキリとする。もしかして私の下心が見抜かれているのだろうか、さすが警察官。
それはもちろん見たいに決まっている。
私は強く頷いた。



