こうやって熊さんに言われたら、私は何も言えない。

熊さんの唯一の家族は私。

私の唯一の家族が熊さん。

この世でたった二人だけの家族、何ていうのに自分がなるなんて思わなかった。

私だって熊さんのことが心配で、もっと熊さんの事が知りたい。

そういう風に言ってくれるなら、もう少し熊さんの世界に踏み込んでも良いだろうか。


「いつか、熊さんの家族のこと教えてくれる?」


「あぁ」


ただそれだけの言葉をもらっただけで不思議と私の心が落ち着いてきて、さっきまで声を大きくしたり一番責任を感じている熊さんに勝手なことを言ってしまったことがいけないことだったと気づいた。