乙女と森野熊さん



「学校で何かあったのか?」


私の取り皿にお肉とお野菜が積まれながら熊さんが聞いてきて私はハッとする。


「あー、うん、ちょっと大変だったんだ」


なんとかごまかせただろうか。私はありがとうと言って目の前の焼き肉を口にすれば、じゅわっとした甘みが広がって思わず頬が緩む。

国産上カルビ肉、やはり海外のよりは美味しいな。これが特上国産牛とかだともっと凄いのかな、気になる。

熊さんも肉に野菜を目一杯包み込みながら口に入れて、私が話すのを待っているようだ。


「生徒会では目安箱を学校に設置しているの。

匿名でオーケーなんだけど、恋の悩み相談から、勉強の質問、生徒会メンバーへのプライベートな質問とかあったりするんだけど、今回とりあげたのがとある教師からの女子生徒へのセクハラ問題。

その教師のセクハラは以前から有名だったし、友達も被害に遭ってたんだけど二人きりの時にやるからみんな泣き寝入り。

うちの生徒会長が行動的だから、目安箱へ助けを求めている女子も多かったと思う。

で、さすがに動こうって事になったんだ」


私の空になったお皿にすぐさま焼けたお肉を追加され、ご飯は?と聞くので断ると、熊さんは店員にご飯大盛りとスープを頼んで、それで?と促す。