乙女と森野熊さん


「帰りにアイス買ってもいい?」


私の代案のような言葉に熊さんが頷く。

ちなみに熊さんはお酒も飲むが甘い物も大好きだ。昔ケーキを一ホール一人で食べたらしい。何か好きというレベルを超えている。

以前熊さんにハチミツの入った瓶が開かなくて開けるのを頼んだとき、某クマのキャラクターがハチミツ瓶を抱えている映像と重なって写真を撮れば良かったと後悔したっけ。


「待っててすぐ着替えてくる。あ、熊さんも臭いがついても良い服にしてね、帰ったら全部洗濯するから」


「あぁ」


久しぶりに熊さんと外食だ。

私はうきうきしながら持って行く鞄に忘れないよう割引クーポンを詰めて部屋に入った。


駅前の焼き肉店はまだ夕飯のピーク時より早めに入ったおかげで奥の広い席を陣取れた。

熊さんは通常の男性よりでかいため、二人席とかでは椅子もテーブルも小さくて窮屈そうに見える。

今日は六人席のような場所だから熊さんもゆったり座れているようだ。

クーポンを店員に見せて、適当に色々な焼き肉を頼む。

さすがに牛肉ばかりだと高いので、豚肉も入れて、野菜も沢山。

既に焼き肉を焼くプレートは肉と野菜で大混雑だ。