「私の乙女がもう後輩達の注目の的に」
「生徒会役員だからじゃ無い?」
そう言いながら下駄箱に靴を入れようとすると真奈美がいやいや、乙女さん!と私の肩を掴む。
「その白い肌、大きな瞳に長いまつげ、腰まである艶々とした黒髪という美女でありながら、合気道の有段者で生徒会役員!向かうところ敵無し!ブラボー!」
「身長が高いって言わなかった配慮にはありがとうと言うべき?」
「んもう!乙女は足も長いし、抜群のプロポーションじゃない!」
「単に背が高いからだよ」
面倒そうに答えて廊下を進み出せば、慌てるように真奈美がついてくる。
先日の健康診断で、170センチより上の数字が聞こえた気がするけれど多分聞き間違いなので私は去年と同じ170センチだ。
考えてみればあの記入された紙ごと潰せば良かった。
私の身長が170センチもあるせいで、宝塚歌劇団みたいな感覚で自分が見られていることはわかっている。



