「私も部員になったから」


朝、既に席に着いていた私に真奈美は鞄を持ったまま私の側に来て、開口一番笑顔で言った。


「アレの部員になったのね」


「やだなー『山浦乙女ファンクラ部』ですよ、乙女さん」


「恥ずかしいから二度とその部を正式名称で言わないで」


一限目の英語の教科書を準備しながらそう言うと、真奈美はあからさまに不満そうな顔をしている。


「部長、あの秋山先輩だよ?いや、会長だっけ?

乙女の知らないところで変なことし出すかもしれないじゃない。

私が監視して乙女に逐一教えてあげるから」


「どっちかというと秋山先輩と一緒に悪乗りしそうだけど」


酷い!と顔に手を当て嘆く親友は言葉とは裏腹に楽しそうだ。

まぁそうは言ってもあまりに勝手なことはしないだろう、私は一応信じようと思い教科書を開いた。