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授業が終わり、生徒会室に向かう。
うちの高校は昔は1学年9クラスもあったそうだが今では4クラスしかないため教室だけが無駄に余って、大抵の部が使われなくなった教室を部室として使っている。
生徒会は最上階の端で一番広い部屋を元々あてがわれていたのに、もう一教室隣をぶんどってそこは生徒会資料室という名の趣味用品などを置いておく部屋となっている。
私が生徒会室のドアに手をかけようとしたら、中から失礼しますという女の子達の声がしてドアが開いた。
四人の女子達は私を見ると、きゃぁ!という黄色い声を上げ、是非お願いします!という声と共に全員で頭を下げて走り去るのを見て、何となく嫌な予感がしつつ部屋に入る。
「山浦さーん!いらっしゃーい!」
私は奥の席から笑顔で手を振った男を無視し、同じ副会長でもある小林伊織先輩に笑顔で、
「さっきの女の子達、どんな要件だったんですか?」
と聞けば、神経質そうに眼鏡のブリッジを指で上げて私を見た後、面倒そうに奥へ視線だけ向ける。
黒髪でさっぱりした顔の小林先輩はいわゆる優等生で先生方の信頼も厚く、むしろ生徒会長に相応しいのは小林先輩だと思うのだが、先輩自身が先頭に立つのは苦手らしく、幼なじみである生徒会長の指名を受け渋々副会長になっている。



