味気ない色の廊下を大きな熊さんの後ろについて歩いていると、何故かぎょっとしたような顔で警察署の人が見ている。
それが、熊さんに捕まった女子高生が歩いていると誤解されているのか、熊さんの大きさに驚いているのか判断はつかないけれど。
少し歩いて熊さんは立ち止まりドアをノックすれば、ドアが開いて女性が顔を出した。
熊さんが私を見て、私は頷くと熊さんに続きその部屋に入る。
この部屋も私がいたような小さな応接室のようだが、ここはソファーでは無く六人ほど集まれるテーブルと椅子があり、奥に真奈美が座っていて私に気が付くと泣きそうな顔になった。
「真奈美」
「乙女、ごめん、ごめんね」
「もうさっきから謝ってばっかりだよ。真奈美も少しは飲み物飲んで」
真奈美の前に置いてあるお茶のペットボトルは手つかず。
私が笑って勧めると、真奈美も少しほっとしたような顔をした。
「悪いが二人きりにはさせられないんだ。女性に一人いてもらうから」
「待って下さい」
熊さんがそう言って部屋を出ようとしたら、真奈美が立ち上がり、
「熊さんにいてもらえないですか?」
そう言って私は驚く。
隣に立つ熊さんは黙っていたが、そこにいた女性二人に目配せすると、その女性達は頭を下げて部屋を出て行った。



