『そっか、森野さんの心配が的中してしまったんだ。
森野さんから直接聞いた方が良いかもしれない。それでまた質問があれば答えるから』
「心配って?」
ドアをノックする音がして、私が誰か来たことを先輩に伝えると、また後でと言われて電話が切られた。
再度ノックする音に、私は急いではい、大丈夫ですと声をかければ、ドアから入ってきたのは熊さんだった。
無表情なまま入ってくると私の前のソファーに座り、私は熊さんがすぐ側にいるということに安心して身体の力が抜けてしまう。
「疲れただろう」
「少しだけ。あの、真奈美は大丈夫?」
「大丈夫だ。後で会わせてあげるよ」
そう言われて息を吐く。
そして聞きたいことを口にする。
「秋山先輩にさっき電話したの。そしたら熊さんに護衛を頼まれてたとか、報告してたとか言われたんだけどどういうこと?
今日は出張で帰りが遅くなるはずだったのに、なんであそこにいたの?」
私が尋ねると、じっと熊さんはこちらを見てゆっくりと話し出した。



