そこでやっと秋山先輩を思いだしスマートフォンを鞄から取り出せば、大量の着信履歴とＬＩＮＥの未読数が見たことも無い数字で表示され、私は慌てて中を確認する。
ひたすら心配する内容に、私は急いで先輩に電話をかけた。
『山浦さん？！』
すぐに先輩の焦る声が聞こえ、私はただ申し訳ない。
「すみません、気づかなくて」
『森野さんに会った？大丈夫なの？』
「え、なんで熊さんが助けに来たこと知ってるんですか？」
急に電話の向こうから大きなため息が聞こえ、私は困惑する。
『実はね、森野さんから乙女ちゃんの護衛と状況を報告するように頼まれていたんだ。
最終日は急用が出来て動けなくなってしまって急いで森野さんに報告したんだけど、やっぱり仕事切り上げて山浦さんのところに駆け付けたんだね、本当に良かった』
心底ホッとしたように話す先輩に、私は初めて先輩と熊さんに面識があることを知った。
「すみません、状況が良くわからないんですが」
『いまどこなの？』
「その、警察署に」
何が起きたのか話すのは、先輩がどこまで何を知っているのかわからない以上躊躇してしまう。
