「お疲れ様です」
『うん。友達の真奈美さんって以前様子がおかしいって話していた子だね?』
「うん」
ちょっと話していたことをしっかり覚えている、さすがだ。
『連休彼女を泊まらせようと乙女ちゃんが思った本当の理由は何?』
ううっ、パジャマパーティーしたい、勉強会するじゃ熊さんは騙せないか。
警察官の熊さんを巻き込むのはどうかと思ったがそもそもこのマンションは熊さんの家。私は素直に理由を話すことにした。
『彼女を泊まらせるのは構わないよ。但しこれから言うことを絶対に守って欲しい』
「もちろん泊まらせたりするから熊さんに迷惑かけないようきちんとルールは守るよ」
『そうじゃない。今の時点から守って欲しいことだ』
私は聞きながら首をかしげた。
『まずはそのお友達の様子をしっかりみておくこと。言動だけじゃ無い、身体的なことも。何かあれば躊躇せず110番するように。
あと一人で暗い時間や人のいない場所にはいかない。出来れば下校時は誰かと帰って欲しい。この注意は乙女ちゃんにだよ』
「えっと、最初のは真奈美がお父さんに暴力振るわれる可能性があるからだよね?
でもなんで私が下校時に注意するの?」
熊さんからすぐに返事が来ない。
「熊さん?」
『今日は帰りがかなり遅くなりそうだから戸締まりして先に寝てて。
もう仕事に戻らないと行けないから。じゃぁ』
私が、うん、と答えれば電話が切れた。
見事に私への忠告の理由は教えてくれないまま。これはきっと教えてくれない。私はモヤモヤとしたままため息をついた。



