乙女と森野熊さん



「真奈美は大丈夫なの?その、お父さんと二人な訳だし」


真奈美の俯いた身体ががピクリと動く。


「まさか、暴力とか」


その反応で私の頭には真奈美が父親に危害を加えられている様子が頭に浮かび、一気に頭へ血が上る。


「駄目だよ!そんなの駄目!」


私がそう言うのに、真奈美は首を振る。


「ううん、いつもは優しいし、時々急に怒鳴ったりするだけで。

病気にママがいなくなってパパが悲しむのも仕方ないよ。

せめて私が側にいなきゃ」


思い詰めたような真奈美を前にして言葉が出てこない。

どうしよう。どうしたら良いのだろう。

私には真奈美が生活できるようお金を渡すことも出来ない。とても真奈美のお父さんを説得するなんて自信は無い。きっと家の中でもお父さんと二人で無理をしているはずだ。ならせめて少しだけでも安心できる時間はあったほうが良いのでは無いだろうか。