*********
既に十一月、私は日頃普通に過ごしている真奈美の時々感じる違和感が気になり放課後二人でファストフード店に寄った。
「ねぇ、何か悩み事?」
真奈美は私の言葉に一瞬詰まって俯いた。
少し前なら気のせいだと笑っていた真奈美の態度が変わったことで、あの違和感は勘違いでは無かったことがわかると共に悪化している可能性を考えて心配になる。
「私じゃ力になれないかもしれないけど、話しくらいなら聞けるから」
真奈美はしばらく俯いて黙っていたが、やっと顔を上げると泣きそうな顔をしていた。
「ママが出て行ったの」
「えっ?!」
まさかの言葉に私は驚く。
あまり真奈美の両親の話は聞いたことが無かったが、悪いとも聞いてもいなかった。
「パパが今年の春過ぎくらいからうつ病になってしまって。仕事を休んでいたけど私が夏休み入ってくらいに会社を解雇されたの。
ママもパートに出たり必死にパパを支えていたけど、パパが段々ママに当たることが酷くなって喧嘩も絶えなくて。それで私が学校から戻ってきたらママがいなくなってた。
パパは放っておけって行ってたけど連絡も無くて、警察に届けようとしたらパパに止められて」
「お母さんいなくなってどれくらいなの?」
「一週間くらい」
俯きがちに小声で話すその姿は、いつものふざけた真奈美の雰囲気からほど遠い。



