2019年6月23日。通称“ポテトの日”と呼ばれる、運命の日が来た。
俺は友人達と、ポテトと飲み物を買って洋次郎のライブ会場で、仲間と話をしながらライブが始まるのを待つ。
先日、マネージャーに託した2枚のチケットの席はまだ空席で、心が落ち着かなかった。
一緒に来た親友の、お笑い芸人の話も左から入っては右耳に流れていき、上手い返しも出来ない。
夕暮れに染まりかけた会場で、天を仰いだ、その瞬間に通路を挟んで隣の席に女性が2名、話しながら座った。
談笑しながらポテトを食べる2人は、夕陽に染められて輝いて見えた。
一緒に来ていた友人も、その事に気づき、俺を通路側の席に移動させてくれた。
通路側に移った事で、俺に気づいた、彼女のマネージャーが、彼女と席を交換した。
マネージャーと席を交換させられ不思議がっている彼女が、ポテトを咥えながら、こちらを向いた。
「えっ!?」
『えっ?』
大変、驚いていた彼女を可愛いと思いながら、偶然を装って、適当な話をした。
“初めまして”と言ったのは、彼女が俺を覚えていなさそうだったから。
相変わらずの綺麗な声に、耳を傾ける。
そして俺は勇気を出して言った。
“連絡先、交換してくれませんか?”
彼女は、驚きながらも教えてくれた。
第一段階、クリア!
心の中で叫んだ。