「さて、君は一体自分が何者か分かるかい?」

 私は何を言っているのか分からなかった。

 私?私は何者?記憶が無い…

「…分からない。ここに来る前に何をしてたのかも覚えてない。あなたは?あなたは誰なの?」

「僕?僕はシェアト。ここの精霊さ。」

「せい…れい…?」

「そう。精霊さ。君は…スピカ。スピカとでも呼ぼうか。」
そう言ってシェアトは肩に乗ってきた。

 なんか不思議な感じ…前にもこんなことあったような…
思い出せないし、まぁいいか。

「ところで、君…スピカは本当に生の世界の記憶が無いのかい?体を見るからに目立った外傷もない。"ここ"に来る子達は皆、自殺をしたか、自らがなにか生の世界に拒絶した事で来る空間なんだ。」

 シェアトが言うことが理解できない。生の世界?そもそも生と死の狭間ってなに?

「あぁ、ごめんね。何も分からないスピカには色々と理解が難しいよね。」
と言ってシェアトは笑った。