君の言葉で朝焼けを迎える

バンッ、次の瞬間人にぶつかった衝撃を感じたとき、鼻に甘い香りがふわっと入ってきて驚いた。


そんな場合ではない。


「ご、ごめんなさい！！！！怪我はされていませんか？」

頭を必死に下げた。ごめんなさい。ごめんなさい。


「君こそ、怪我、していない？」


え。


ふと顔を上げたら、綺麗な銀髪が視界に映り込む。


硝子のような目に、陶器のように白い肌。


いわゆるイケメンか。


「いや、その、大丈夫です。ごめんなさい。」


彼の横を走って通り抜けた。こうやってまた逃げてしまう。


「泣いてる暇があれば笑っとけよ。そっちのほうがお似合いなんだから。」


足を止めて後ろを振り返るとその男の子はきれいな目でこちらを見ていた。


何を言っているの、この人。


よくわからなくなって昇降口から飛び出るように外に出た。


もう、わけわからない。　


家につく頃にはあたりは暗くなっていて家の電気はついてなかった。


母親が入院生活をしている私は一人っ子だし兄弟もいない。　父親は大手の外資系の会社に勤めていて家には週ーにしか帰ってこない。