彼は何もわかっていない。


学校から早く出たくてしょうがなかった。 がむしゃらに走って、昇降口に向かった。


学校に行くことは無理なんだ。私には。心が持たない。


自然に涙も混ざってきて唇を強く噛むことしかできなかった。


無心に走っていくと涙は止まってきた。 お昼の時間だし誰もいない。


足が動くペースが遅くなっていき、床を見つめながら歩いた。


「はぁ」

ため息が口から漏れていく。


自分の弱さが悔しい。 嫌いになる。 こんな、こんな人生でなければ。


足が震えていくのを感じるが、足は止まらなかった。


家に帰りたい。 一人でもうぼーっとしていたい。


手に持っていた退部届を拳の中で丸める。