「21番、佐野!」先生の声が響き渡る。


恐る恐る立っていたら足が椅子にぶつかって、ガタン!!と大きな音をたてて床に落ちた。


(やってしまった!)焦って椅子を元の位置に戻す。


周りからはコソコソと笑い声が聞こえてきて顔が赤くなっていくのを感じた。


耳までも火照っていて熱い。


火傷しそうなぐらいだ。


周りからの目が気になって仕方なくて唇を噛み締めたが自己紹介を続けないと変な目で見られると、第二の焦りが私を覆い込む。


「さ、佐野奏です。えっと、部活は去年文芸サークルに幽霊部員で入ってました。一年間よろしくおねがいいたします」と口早に言ってすぐに座った。


自分のときだけ拍手は妙に小さく聞こえるからまた失敗してしまった、と視線を下げた。