「あ、もしかして佐野さん？多分座席はあそこだよ、前から3番目のー。」


振り向くとそこにいたのは、とても可愛い女の子だった。


ぱっちり大きい目に、きれいに整った前髪、色白い肌、しゅっとしたボディーラインに細い足。


いかにも雑誌に乗っていそうな子だ。


「って、急に言われてもびっくりしちゃったよね！浅見七菜です。去年同じクラスだったけどあんまり覚えてないか。」


それに人柄も良さそうで、コミュ力もある。　


去年、浅見さんは出席番号が1番で少し覚えている。




「ありがとうございます。」


ぼそっと言ってしまった。


目も合わせたくなくて反らしてしまう。


目を見て話せないのは私の悪い癖。


居心地が悪くて、申し訳なくて自分の席へ早足で向かった。


教室の中ではもともと話していた子同士でみんなわいわいと話していた。


誰も私が入ったことには気づかなかったし、それで良かったと安心して荷物を置く。


数秒後、浅見さんがクラスに入ると一気にみんなが一斉に浅見さんへ視線を向けて「おはよう！」と次々に挨拶をしていた。


内心あんな感じで人が自然に集まって来る人は苦手。今まで私に嫌な気持ちをさせてきた人はそうだったから。