正門の方が騒がしくなる。
剣戟、爆発、怒声、悲鳴。
何かが起こり、混乱していることだけは伝わってきた。
状況のつかめない当主達の集まるこの部屋に、ひとりの男が駆け込んだ。
「報告。鬼どもの討ち入りです!」
「なんだと!?」
「数は!」
「百は超えています」
「これも、火宮が鬼の子など連れておるから」
「火宮では管理できぬことの証明だな」
「ここに連れてくる過程で知れたのだ。火宮の家に置いておけば知られずに済んだわ」
「この期に及んでっ……」
「まあまあ。丁度いいのでここはひとつ、勝負で決めましょう」
「勝負?」
「鬼どもを退治する。頭を取った家の勝ち」
「簡単でいいですな」
「我も賛成だ」
「ふざけるな! どちらも我が火宮の……」
「火宮、勝てばよかろう。我とて手は抜かん」
当主同士、話はついたようだ。
「いいじゃん。暇してたんだよね」
「絶対、コイツよりボクの方が強いし」
「ハル君、このオカマウザいんだけど」
「咲耶の方が強くて可愛いよ」
「力比べは好きだ!」
「………僕はちょっと………」
次期当主達も、概ね同意らしい。
「派手にいこう、タケミカヅチ!」
この勝負に、かなり乗り気な雷地が、タケミカヅチを召喚した。
召喚の演出か、室内に雷が何発か落ちる。
「キャーッ!」
「危ないだろこのバカ!」
「アハッ。先手必勝だよ……………ぉ?」
「…………」
「…………」
その時、私達と雷地の目が合った。
雷で床にいくつか穴が空いたのだ。
その穴のひとつが、私達と雷地の丁度真ん中に空いたものだから、見えてしまう。
雷地の視線を追ったその他の人たちも、私達に気付く。
「貴様ら、いつから居た!」
「よもや、貴様らが鬼を呼び込んだのか!」
火宮当主が私たちに罪を被せようとしているよ。
絶対に違うと言い切れないところが厄介。
「自然災害め………」
「お前、金光院との相性最悪だろ……」
私たちはため息と舌打ちの間をとったような息を吐き、室内に飛び入った。