数分して、ドアにノックをする音がした。


「校長先生、お呼びですか?」

「お、渚(ナギサ)。この子は、ここの学校の転入生なんだが、あんまり慣れていない。ここの校舎内の寮内を案内してやってくれ。」

「はい。」


渚、と呼ばれた男子はあたしをチラっと見て、手招きした。


「俺、佐倉渚(サクラナギサ)。3組の委員長やってる。お前は?」

「え?あ、俺は美崎薫。ずっと普通の学校だったからさ、慣れてなくて。」


できるだけ男子っぽく振舞った。


「俺、ずっと男子校。」

「え?そうなんだ。」


緊張しているせいか、乾いた笑いしか出てこない。

渚とは徐々に打ち解けていった。


「寮は、二人ひとつの部屋だから、ペア誰だろうな。薫、何号室?」

「俺は、…204号室。誰か知ってるか?」

「204は確か・・・唯だ。片瀬唯(カタセユイ)。3組だぜ。アイツもずっと男子校だな。」


どんな奴だろうと考えていると、渚が肩に手を置いた。

「?」

「前。アイツが唯だぜ。」

渚は指差した。