――数ヶ月前――

「薫ー!!ちょっと来て。」

家でゴロゴロと寝ていたあたしは、お母さんの声で目を覚ました。

せっかく人が気持ちよく寝ているのを起こされたあたしは、不満をぶつぶつ言いながら自分の部屋から出た。


「何よ。せっかく休みで寝ていたのに。」

「ちょっと見なさいよ!!アンタ来年から高校なのに、家計赤字で行けなくなるわよ!!」


お母さんの悲惨な家計簿を見て、あたしはびっくりした。


「なんで!?お母さん、使いすぎじゃない!?高校行けないとか、就職できないじゃん!!」


あたしが必死にお母さんに言うと、お母さんは何かを企んでいるような笑い方をした。


「心配しなくても大丈夫よ。いい考えがあるから。」

「何?」


お母さんの口から出た言葉は、とんでもないものだった。


「薫の叔父、つまりはあたしの兄ね。お兄ちゃん、高校の校長でしょ?」