ガタガタと机を戻しながら、「元気でね」「別れたくない」「寂しくなる」「さようなら」という、卒業生もしくは別れる恋人に向かって言うような言葉が飛び交った。
高校生活はまだあと1年残っているし、来年も同じクラスになる可能性もあるよ。
「ねぇ赤星くん。さらばとかさよならとか……聞くと寂しくならない?」
「『さ』が多いな。……3組の『さ』」
「ほんとだ。……桜の『さ』」
「3月の『さ』」
「……」
「勝った」
「まだ考えてるの。ちょっと待って」
「さっき泣いてたろ。よく泣くよな、ほんと」
「そうかな?今くらいじゃない?」
「はぁ?合計7回は見たぞ」
「そんなに泣いたっけ?」
「まずLHRで泣いてたろ。あれが1回目だ。どこに泣きポイントがあったのかわっかんねーけど」
「LHRって席替えしたときの?」
「そ。最高の3学期にするために席替えするから思い出作れってやつ」
「あれかぁ。う~ん。よく覚えてないけど、なんだか先生の真心に打たれたのかな?」
「弱点っつーか、ツボだったんだろうな。……あんとき一瞬、菓子の受け取り拒否ったから泣いたのかと思ってビビったっつーの」
「そんなことで泣かないもん。私は泣くまでは早いかもしれないけど、泣き止むのも早いんです。いつまでも引きずらない方だと思う。そこが私の良いところです」
「唐突に自己アピール。どーだか」

