玲蘭はびしょ濡れで家に入った。


伊織は物音がしたから、リビングから玄関に来て、ズぶ濡れの玲蘭を見て驚く。



「玲蘭...。傘持ってなかったのか。」


「うん。知らなかった。今日雨降るだなんて。やだなー、ビショビショになっちゃった!」



伊織は玲蘭の足に怪我があることに気がついた。


「玲蘭、足、どうしたんだよ。」


「え?」



玲蘭は自分の足の怪我に伊織から言われて初めて気がついた。


それくらいザザぶりの雨の中、夢中で帰ってきたのだ。


「玲蘭、まさか、さりなに暴力振るわれたわけじゃねーよな?」


「違う。違うよ。逢沢さんは関係ない。」


「じゃあ、入江と有澤だろ。...あいつら!!」


「大丈夫だから!気にしないでよ。」



怒りに震えている伊織をなだめ、玲蘭は靴を脱いで、家に上がった。



「玲蘭!」



伊織は玲蘭を抱きしめた。




「ごめん.......!」



「伊織。」




「俺のせいで、こんな目にあって.......。」


「ううん。大丈夫。」



伊織は玲蘭にそのままキスをした。



舌を絡ませてくる大人のキス。



玲蘭は恥ずかしくなり、息も苦しくなって、伊織を突き飛ばした。



「やめてよ。」



玲蘭は息を整えて、伊織を見た。



「ごめん。」



「もう、辞めよう。こんなこと。倫理に反してる。」



「玲蘭.....。」



「私だって、好きな気持ちが止まらなくなりそうなんだもん。」



玲蘭は涙混じりの声で言った。



そんな玲蘭の涙で、伊織の中のなにかがキレた。