ある日、さりなは髪を染め直して、ヘアアレンジも、工夫して学校に来た。


「あーさりな、髪染めた?」

「ヘアアレンジ良いじゃん。」

「うん、いいでしょ?めっちゃ気に入ってるんだぁ!!」


友人の有澤や入江とはしゃいでいると、伊織が登校してきた。


さりなはそれに気づいて、伊織に近づいていく。


「いおりー!!おはよ❤︎」

「おぅ。」



髪を変えたことにも、気を止めない伊織に、さりなは表情を曇らす。



「いおり、見て。髪の色、変えたんだ。」

「おぅ、そうだな。」


興味のない返事。

さりなは、いつもなら我慢できたが、その日はできずに涙が溢れた。



「なにそれ、興味なしって感じだよね。
伊織はいつもそう。」


「いちいち気づいてやらなきゃいけないわけ?めんどくせぇ。」


「酷いよ!伊織。」


さりなは涙目になって、教室を飛び出した。


「さりな!!」


教室から走り出たさりなを、洋一は追いかけた。



伊織は席に座り、外の風景を眺めた。




さりなはそのまま、廊下の隅へ。



「さりな!」


「洋ちゃん。」


「何泣いてるんだよ、伊織が他人に興味ないのなんて、いつものことだろ。」


「だって、だって、だって......。」



さりなのなかで積み重なったものが、溢れ出たのだ。


「気にするなよ。」


「伊織、私と別れたいのかな。たしかにわたしのワガママで、付き合い始めた様なもんだったけどさ。」


洋一は苦笑いしか、できなかった。



「そりゃ、たしかに。さりなと付き合ってるのはバンドのためかもしれない。

さりながgive upしたら終わりだぜ?」



「わかってるけど、なんか一方的で辛いよ...。」



洋一はさりなに何も言えなかった。