「おはよ」

「あれ。伍一、なんかあった?」

 いつも察しの良い優里亜に首を振って、椅子に座る。

 七月に入ったのに、朝から気持ち、重い。

 なにがなんなのか。

 でも、好きの気持ちだけは更に強くなって、キホを奪われたくなくて、これって余裕のないちっぽけな独占欲。

 桜介の行動にイライラしても、俺は想いを伝えることも、まともにそれらしい行動に移したこともない。

 自信がないからって、いつまでヘタレか。

 気持ちばかり膨らんで、この気持ちを行動に移すときが来たのかも、と授業中、キホの背中を見て感じた。