今日は雨が降りそうな曇り空、室内は薄暗く、珍しく図書室が若干不気味に思えて、あたしはカウンターに入って下の棚から資料を探していると──

「……ックシュン」

 誰もいないと思っていたから、肩がビクついて、顔を上げる。

 よく見ると、奥の席に一人の男子生徒が座って、本を読んでいるのを見つけた。

 そして、眼鏡の横顔を見たことがあるような気がして……あれは多分千広君だ。

 弓道部は意外でも、想像どうりで本は好きなんだなぁ。