姫を殺した瞬間、俺は気付く。

「国よりも姫を選べばよかった。」

姫を殺さなければ‥‥。

後悔しても帰ってこない。

もう無理だ。

俺は姫を殺してから、悪魔界に戻った。

殺しまくって、殺しまくって、死んでいく悪魔を見ても、冷酷な目で、無関心だった。

荒れて、荒れて、女遊びをしまくった。

一緒に暮らしたサマエルは、俺がやりすぎると何度も止めてくれた。

姫が死んだ日だけは暴れることを禁止された。

サマエルに言われたのだ。

「懺悔があるのなら、その日だけはどんなに苛ついても切れるな!!!!殴るな!!!殺すな!!!!何も手を出すな!!!!」

俺はその日だけは守ろうって思った。

女遊びしまくっていた俺を理解してくれる二人が居たから、なんとか‥

サマエルのことが好きなジュン。

ジュンが突然聞いてきたんだ。

「アモンさ、いつも指輪を付けてるよねー。
愛したひとからなん???だから、いつも女遊びしてるのね。馬鹿!!!」
そう言われたんだった‥

その日は何も言えなかった。

だって、サマエルもジュンも何を言いたいのか分かっていたから。

諦めようとしなくていいんだ。好きなら、好きのままで居ていい。つらいなら、つらいって言えばいいって‥。

俺は笑った。

それを見て、ジュンも何も言えなくなったらしい‥

俺は国王となり、何百年も過ごした。

あいつが戻ってくることを。

そして、五百年経ったあと、戻ってきた。

俺はあいつがひとりなるように仕掛け、俺しか頼れない状況を作った。

その結果、俺だけという形になった。

だが、あいつは思い出してしまった。

否、覚えていた‥

醜い想いを隠し通すつもりだったが、姫を愛する俺は俺がいることによって、姫が苦しくなるのなら、離れているべきだって‥

最後の瞬間だけは最悪な結末からハッピーエンドにしたかった。

だから、見せた。

本当は、俺のことを思い出して、俺を許さなくてもいいから、愛していたあの頃に戻ってほしかった。

彼女は俺を思い出しても、怖がらなかった。

ただ、泣いていた。

俺はそれを見て、自分の罰として、一緒にいることを止めた。

俺はハナに願った。

辛かった瞬間、俺のことを忘れていてほしい。
そして、幸せだった瞬間は憶えていてほしいってそう願った。
俺が心から愛する人はいくら何年経ってもハナだけだって‥

そう願ったが、見えないところで、見守ったりした‥

最後だけでいいから、俺の目を見てほしいって思ってしまい、手紙という口実を作った。

彼女はやはり、忘れていた‥

綺麗だねって言われたとき、憶えてるのか!!!って思ったが‥。

結局‥‥忘れていた。