俺には、とてつもなく可愛い彼女、桜ちゃんがいる。

 だけど、桜ちゃんは好きって言ってくれない。

 だから、俺は嫉妬させたい。


「このアイドル、なんか良いよね」


 クラスメイトが話してたアイドルを褒めてみた。別に俺はこのアイドルのことはなんとも思ってない。

 ただ、桜ちゃんに嫉妬してほしいから少し褒めてみただけ。


「う、うん」


 あまり効果はなかったようだ。

 メッセージの返信を遅らせたり、他人を褒めてみたり、好きって言うのを我慢してみたりするけど、あまり効果はない。


「あっ!そろそろチャイムがなるね。教室戻ろう!」


 いつも通り、雑談をしてたらもうすぐ昼休みが終わる時間になった。


「うん。じゃあ、また夜に電話で」


 そう言って、手を振った桜ちゃん。

 か、可愛い……!