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「よく私を見つけましたね」
「何年一緒に居たと思っている」
離宮から離れ、森を抜けた小さな湖の畔を向いて立っていたアミルの背中にイオンはそう返す。
人間の娘を手引きした者は家の中にいるのではと思った事もあった。
タイミング良く敵対する家が入り込んできたのもおかしかった。
一番に疑っていたのは腹心のアミル。
だが疑いつつもそうあって欲しくないとどれだけ願ったか。
「アミル、ここまでのことをした理由は」
アミルはようやく振り返り、寂しげな笑みを浮かべる。
「脅されていた、とでも言えば納得しますか?」
イオンがアミルの方へ一歩踏み出すと、アミルは懐から短剣を取り出しそれを自分の首筋に当てた。



