ずっと何か見ていることを淡々と話すイオンの手に撫子は手を重ねる。 決意したような表情のイオンを見てこれから何かをしようとしているが、それはとても悲しいことだというのが何故か撫子には伝わってきていた。 「イオン、一人で行くの?」 撫子を抱え上げ、イオンは寝室に行くとそっと降ろした。 そしてその黒髪を優しく撫でる。 「ここには誰も入れないようにしておく。 俺はけじめをつけてくるよ、ワイズミュラー家の当主となるために」