麗しきヴァンパイアは大和撫子に救われる


「屋敷の者が見知らぬ人間の娘が物売りに来たと。
当主と既に約束をしてあると手紙を持ってきて通したと言ったんだ。
不審に思って父の部屋に行けば、父はその物売りの人間の娘を殺していた。
そして父はおかしくなっていた。
娘に毒を盛られたんだ、ヴァンパイアが理性を無くす毒を。

半狂乱の父が俺に襲いかかってきて、俺は必死に押さえ込もうとした。
だが父親が理性を失いかけながら言ったのは、殺して欲しいという懇願だった。
おそらくこの頃出回っていてヴァンパイアを陥れる毒だと理解した。
それは消えることは無く暴走するだけ。

人間の娘は知らずに薬を飲ませたのか、誰かの差し金だったかはわからない。
ワイズミュラー家を守るには、嫡男である俺が当主の暴走を止めるのは責務。
娘が隠し持っていて父親が娘を殺した銀のナイフで父親を殺したんだ。
すべて、思い出した」