麗しきヴァンパイアは大和撫子に救われる


「もう零時近いですしこの辺のお店は開いてないですよ。町の方に行けば居酒屋とかあるでしょうが。
コンビニでニンニク入りの食べ物買って自宅で食べた方が良いのでは」

「そうだな、まずはホテルを探すことにしよう。丁寧にありがとう」


とてもこんな子供に吸血させて欲しいなどとは貴族のプライドとして許されない。
何故かニンニクの香りのする少女からイオンがベンチから立ち上がると、


「ホテル?これから?
ここの駅周辺にはないので結局街に出ないと無理ですよ?
それにそろそろ終電かと」


撫子が驚いて言えば、イオンはその内容を聞いて疲れと空腹から再度ベンチに座り込んだ。


「ありがとう。明日にでも移動する。君は帰りなさい」


まさか街に出ないと何もかも無いとは。
ここは人が多いのでホテルくらいある物だと思っていた。
イオンはヴァンパイアではあるが、ありがたいことに日光は長時間で無ければ何とかなる。
吸血するには先が大変そうだとため息をつくと、イオンの腕を引っ張られた。