麗しきヴァンパイアは大和撫子に救われる



「待て。撫子一人にはさせられない」

「時間がございません。
それにここは離宮とは言え王に信頼の厚い者のみ。ご安心を」


礼儀正しくイオンと撫子に頭を下げるメイド達をじっとイオンは見ると、


「撫子、謁見の打ち合わせがあるので別室に行く。
その間そのメイド達が世話をするので謁見の際に着るドレスを選んでいてくれ。
すぐに戻る」


撫子はようやくイオンから日本語が聞け思わず安心してしまった。
ここに来てから当然だがイオンは母国語で話している。
撫子は片言の英語もままならないのにイオンの母国語などさっぱりだ。
これからイオンに大切な打ち合わせがあるのなら邪魔をしてはいけない。


「大丈夫。ドレス選んでるからしっかり打ち合わせしてきてね」


笑顔を見せる撫子を見てイオンはドアから撫子の側に行き、そっとその額に口づけた。
突然のキスに顔を赤くして動揺している撫子の手を取り、その手のひらにキスをした。


「すぐに戻る。私の愛しい人」


アミルは微笑むイオンに驚きながら、イオンに促され部屋を離れる。
部屋にはメイド達と撫子。
撫子はスマホを取りだし、よろしくお願いしますと翻訳した言葉を言うと二人がにこりと笑う。
ほっと撫子がしたその瞬間、メイド二人は何着ものドレスの下に隠していた布を広げ、撫子に襲いかかった。