「旅の事情って何?
本当は食べられないニンニクを何故こんなに頻繁に食べるの?
血を本当に吸うの?毎日じゃないと駄目なの?
そもそも今日日中外に出たけど日光ってヴァンパイアは灰になるんじゃ」
堰を切ったように質問を始めた撫子にイオンは思わず気圧されたが、興味津々の表情を見て諦めた様に、
「そうだな、撫子には色々世話になり迷惑もかけた。
きちんと話した方が良いのだろう。では、どこから話そうか」
イオンはルーマニアにはヴァンパイアだけが住む国と称する場所があり、そこで自分は名門の貴族だったこと、そして父親を殺害した罪で国王に国外追放されたこと、その時の罰としてニンニクを摂取すること、しかし異性から吸血しなければならないことを話す。
国では直接人間から吸血せずに人間から公式な手段で献血用の血液が配られていたから、例外では無い限り直接人間から吸血することが無い事も。
流石に撫子もイオンが父親を殺害したなどと聞いた時はびくりと顔を強ばらせたが、目をそらすこと無く最後まで聞いていることにイオンは撫子の内面の強さも改めて感じていた。



